話題作で"読"正月
『最近人から指摘されて気づきましたが"(何があっても)それでも人は生きていく"ということを書きたい気持ちは、強いかもしれません』
キッカケの素 オススメの1冊
「明るい話でもなければ、泣ける話でもありません。問題作というわけでも、かといって重々しい大作でもありません。
ただ久しぶりに、小説を読んでいて、震えてしまいました。どの短編にも、現実の事件を題材にしている部分が見受けられます。もちろんさほど、大きな事件ではありません。地味で、救われない、ごく普通の人間の半生を描いているのですが、それだけに静かな迫力が滲んでいます。この本の向こう側で、作者は息を潜め、読者を睨みつけ、『人には、こういうこともある』と突きつけてきます。鋭い眼光と、優しくも淡々とした呼吸、それを感じる小説でした」
『重力ピエロ』第3位
『陽気なギャングが地球を回す』第6位
12pのインタビュー
『じつは僕は、突飛な奇をてらう設定というのはあまり好きじゃないんですよ。しゃべる案山子なんか書いといてなんですけど(笑)、小説として現実的な話が好みで。ただ、淡淡とした日常を描くような作品は、僕が書かなくてもいいかな、とも思うんです。なので、地上からわずか何センチか浮いているような物語を書ければいいんです。』