おやじのせなか
銀座で画廊を開いているお父さんについてのエッセイ。
『小説でモデルにしたことはありませんが、よく出てくる犬好きな登場人物の姿は、父に似ているかも。』
men's non-no square books 『グラスホッパー』
引用に関して、『僕の言葉ではない、別の声が入るというのは小説ならではの表現だと思いますし、固有名詞を出すことで、読者が"おっ!"と思うのも楽しいですよね。でも最近は、その固有名詞がはたして共通の記号として作用しているのか気になります。だから今回は、思い切って架空の固有名詞を登場させました。こういうことも、小説なら"あり"だと思うんですよね(笑)』
ぼくの好きな本 by 伊坂幸太郎
本の探検隊 「グラスホッパー」
「この作品はストレートな応援ソングではないんです。人によってはひりひりしてしまうかもしれないんですが、それでいいと思うところもあるんです。だって、ビートルズの歌は格好いいけど、内容は優しいわけじゃないですし、この小説もそうなんだ、と本人としては思っています」
「気になるあの人」との60分 伊坂幸太郎
殺し屋の一人である蝉が、“俺はしょせん誰かのコピーではないか”と絶望を吐露するシーンが印象に残りました。そこには、伊坂さん自身の思いが強く投影されているように感じました。
「これは僕自身のことも含めていうのですが、ひょっとしたら自分は誰かの“パクリ”なんじゃないかという絶望感は、社会(この言葉はあまり好きではありませんが)に生きるわれわれには、誰にだってあるのではないでしょうか。だからといって、自分のオリジナリティーにいつまでもこだわりすぎていると、逆に進歩もしなくなる。十代の終わりごろから、僕はずっとそんなことを考え続けてきました。人間って、他人とのあいだのどうでもいい差異に、優劣をつけたがるところってあるじゃないですか。そのせいで蔑ろにされるものがあるくらいなら、誰かのコピーであることを決して恥じる必要はないと僕は思っています。」